【開催報告】「災害時の暮らしの支援を考える情報交換会」第2回を開催しました

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【開催報告】「災害時の暮らしの支援を考える情報交換会」第2回を開催しました

2026.10.06

イベント情報

10月2日(金)、「災害時の暮らしの支援を考える情報交換会」(全2回)の第2回をオンラインで開催しました。第1回に続き、中間支援団体、NPO・市民活動団体、自治会・町会、地域団体、行政関係者など28名の方にご参加いただきました。

開催の背景

第1回では、秋田豪雨の現場で活動された鷹野秀征さんから、「災害ではなく暮らしを見る」「いつものつながりを、もしもの時にも生かす」という視点を伺いました。それから2週間、千葉県は台風25号の影響も重なり、依然として被害の全体像が見えにくい状況が続いています。第2回では、県内各地の被災地を回りながら、関係機関・団体の支援調整を続けている災害支援ネットワークちば(CVOAD)代表の加納基成さんをゲストに迎え、「千葉の今」を知り、参加者それぞれの活動との接点を考える場としました。

ゲストトーク:千葉豪雨の現在地から

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8月13日の豪雨から1か月半が経ちましたが、台風25号の影響もあり、支援は「振り出しに戻った」状態にあると加納さん。
大網白里市、市原市、千葉市緑区、茂原市、八千代市などでは、土砂災害、越水、浸水、擁壁崩壊、建物・車両の被害などが確認されており、現在、22の市町村に災害ボランティアセンターが立ち上がっています(10月2日現在)。濡れた断熱材を放置することで発生するカビによる健康被害など、今後、外からはは分かりにくい二次定な被害が増えていくことも予想されます。

加納さんたちは発災直後から現地を回り、被害の把握、支援リソースの確保、災害ボランティアセンターの立ち上げ支援、被災住民への情報提供を並行して進めてきました。そこで感じているのが、「被害を見えるようにすること」の難しさと大切さです。
被害が十分に把握されなければ、必要な支援も届きません。「被害を小さく見せようとする空気がどうしても生まれてしまう」中で、現地を歩き、一軒一軒の状況を知り、それを地域の外へ伝えていく。支援は、まず「何が起きているのか」を見つけるところから始まります。

話は、建物や道路などの被害から、その後の「暮らしの課題」に移ります。加納さんが特に懸念しているのが、孤独・孤立です。
災害は、もともと孤独・孤立の状態にあった人をさらに孤立させる可能性があります。千葉県は高齢者の独居率に比して孤立死が多い傾向があり、これは、既存の見守りが十分に行き届いていないことを示していると考えられます。「災害支援の根本的な目的は、災害関連死を防ぐことに尽きる」と加納さんは言います。

印象的だったのは、「技術系NPO」と呼ばれる支援団体の役割についての捉え方です。ブルーシート張りや重機作業といった技術的な支援を行う人たちは、被災したお宅に一定期間とどまり、作業をともにするうちに被災された方との関係を築いていきます。その中で、困りごとや心の内を少しずつ話してもらえるようになる―こうした「寄り添い続ける時間」が生む心のケアを、技術系NPOの人たちが担っているという現状があります。一方で、被災された方には「顔見知りだから話せる」と「赤の他人だからこそ話せる」の両方が必要です。地域の内外それぞれの支援、その両輪が被災された方の生活再建を後押しするとの見方も示されました。

ゲストトークの最後には、阪神・淡路大震災の被災者の心のケアに携わり、兵庫県立こころのケアセンターの初代センター長を務めた精神科医・中井久夫氏の言葉が紹介されました。

「だれも病人でありうる、たまたま何かの恵みによっていまは病気でないのだ」という謙虚さが、病人とともに生きる社会の人間の常識であると思う。
――
中井久夫・山口直彦『看護のための精神医学』

被災も同じで、「たまたま今は被災していないだけ」という謙虚さを持つこと。それが、被災した人とともに生きる地域の土台になるというメッセージで、お話は締めくくられました。

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災害支援ネットワークちば(CVOAD)代表 加納基成さん

質疑応答から

Q. 自治会・町会の役割について触れてほしい。
初動対応で最も早く動いたのは自治会・町会だったという参加者からの実感を受け、加納さんも、浸水被害の大きかった佐倉市や八千代市で、自治会・町会の方が「○○さんの家はここまで浸水した」と地図に書き込んでくれるほど、地域のつながりが生きていたことを実感したと振り返りました。参加者からは、地域の信頼を集める人物(町会の事務局長)に情報を一元化したことで、翌日から支援活動を始められたという事例も共有されました。

Q.支援したい人と支援を必要とする人がうまくつながらないのは、どこに難しさがあるのか。行政・社協・NPOは、それぞれどんな役割を担うと連携しやすいか。
支援の範囲をどこまでとするかという「目線合わせ」、リソースの確保、制度や市民感情、メディアとの向き合い方など、難しさの要因は一つではないと率直に話してくださいました。また、発災直後の市町村域では、現場で人や関係者を動かす「渦」をつくる起点としてNPOが動き、その渦がいくつも重なったところで、県レベル・国レベルの調整へとつながっていく、という段階的な連携のイメージが語られました。
「誰かの所為にしない。誰かの所為ではなく『みんなの所為』」という姿勢でコーディネーションに当たることを心掛けているとのことです。

Q.(印西市在住の参加者より)報道で大きく取り上げられていない地域では、何ができるか。
印旛沼周辺など、報道されにくいが被害が生じているエリアもあるとの実感を踏まえた意見に対し、加納さんは「どこで土砂崩れや冠水が起きたのかを地域でマッピングし、この先どう暮らしていくかを考える機会にしてもいいのでは」と応じました。また、千葉県はもともと崖崩れの発生件数が多く、今回の豪雨はその延長線上にあるとの見解もありました。

Q.(チャットより)子どもの孤立支援をしたいが、方法はあるか。
学校まで歩いて行けず、タクシーで遠回りして通学する子どもがいる集落が今も複数あるなど、子どもの孤立や混乱は特に見えにくい課題だと加納さんは述べました。平時から子どもと関わる市民活動団体こそ、こうした場づくりが得意なはず。「ニーズがなければ『それはそれで良かった』くらいの気持ちで、できることはどんどん試してほしい」と参加者に呼びかけました。

Q.ボランティアが引き上げた後、地域はどのように「話せる人・話せる場所」を持てばよいか。
人によっては「人とのつながり」よりも「場所」の方が入りやすい場合があること、そして地域に移り住んだ人にとっては、関わり方の距離感を自分で選べる「場」の存在が重要であると述べられました。日常的に立ち寄れる居場所を地域の中に持ち、関わり方の選択肢を増やしていくことが、長期的な支え合いにつながるといいます。

第2回を終えて

加納さんのお話から見えてきたのは、災害からひと月半が過ぎてなお、被害の全体像も、暮らしの困りごとも、まだ「見えていない」ことが数多く残っているという現実でした。「だれも被災者でありうる」という謙虚さや、専門技術はもちろん、「そばで寄り添う時間」そのものがケアになるという視点は、第1回で鷹野さんが語られた「いつもの力を、もしもの時にも」というメッセージと重なるものです。

ちばのWA地域づくり基金では、こうした情報交換の場を通じて、災害時の暮らし支援に関心を持つNPO・市民活動団体・地域団体・行政・社協などが日頃からつながり合えるよう、今後も場づくりを続けていきます。

ちばのWAからのご案内

ちばのWA地域づくり基金では、千葉災害支援基金への寄付を呼びかけ、被災された方の暮らしを支える活動につなげています。緊急支援助成では、被災地域での食事支援、避難所開設により利用できなくなった子どもの居場所の代替活動、被災者への訪問・見守りに備えた支援者研修などを支援してきました。地域で気になる困りごとや、実施できそうな支援がありましたら、ぜひちばのWAまでご相談ください。

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