【助成レポート】キッズ防災プロジェクト(小学生を対象とした防災教育事業)/一般社団法人四番隊

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【助成レポート】キッズ防災プロジェクト(小学生を対象とした防災教育事業)/一般社団法人四番隊

2023.08.18
助成レポート
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一般社団法人四番隊のみなさん(写真提供:四番隊)

ちばのWA地域づくり基金は、2019年台風1519号・10月豪雨による千葉県内の被災地における支援活動を支えるために「2019千葉県台風・豪雨災害支援基金」を設置し、いただいたご寄付を原資に災害直後からこれまで6回の助成を実施しています。
千葉県内での復旧・復興はひとつの節目を迎えていますが(もちろん未だに厳しい環境に置かれている方がいらっしゃるという現実も支援団体の皆さんから伺っていますが)、今年も早い時期から日本各地で豪雨による災害が頻発している状況を見ると、次の災害へ個人が備えることはもちろん、NPO等の市民公益活動団体が災害時にその専門性を発揮できるよう支援していくことも、私たちの生活を守る大切な「備え」として速やかに進めていかなければならないと感じます。

今年1月に実施した「2019千葉県台風・豪雨災害支援基金第6次助成」では、テーマを「災害によって取り残される人をなくすための助成」とし、①千葉県内での災害の影響を受けた活動場所の再生・整備に関する活動②千葉県内での災害支援活動、復興活動を通じて顕在化した地域の課題に対する活動③過去の災害からの気づきや学びを今後の災害に活かす活動 を対象に募集をしました。採択された3団体20239月末の事業完了に向けて、現在、それぞれの地域で活動しています。
 
採択事業のひとつ〈キッズ防災プロジェクト〉を実施する一般社団法人四番隊(以下、四番隊)は、東日本大震災を機に災害支援の大切さに気付き、20115月に前身のボランティア団体を結成。袖ケ浦市を拠点に、これまで、熊本地震・広島県豪雨災害・常総市水害・大阪北部地震・福島沖地震・北陸豪雨災害・千葉県台風豪雨災害など、日本各地の被災地で泥出しや屋根のブルーシート展張を行ってきました。

学校での防災教育と子どもの災害リスク

災害時に比較的危険にさらされやすい人、いわゆる「災害弱者」といわれる人の中には、大人のサポートを必要とする年齢の子どもたちも含まれます。
文部科学省の調査によると、小学校・中学校・高校で防災の指導をしている学校は100%と、ほぼすべての学校で行われているそうですが、この中には学校行事や学級活動での防災訓練も含まれており(※1)、実際は学校や地域により防災教育の内容に差があるのではないかと思われます。※1(NHK 学校の「防災教育」が変わる  子どもたちに防災をどう伝える?-明日をまもるナビー)

子どもを取り巻く災害リスクはさまざまです。
災害が発生した時間によっては、子どもがひとりで、あるいは子どもたちだけでいる時に被災してしまうという可能性もありますし、大人が入れない小さな空間に入ることができるために生まれる危険もあるでしょう。近所の川の様子を見に行ってしまったり、連絡の取れない家族を心配して探しに行ってしまったり、子どもの好奇心や優しさがリスクを高めてしまうということもあるかもしれません。

子どもから子どもへ。「伝わる」防災教育

災害時のリスクは、発生直後・避難時・避難後などのフェーズによって異なりますが、四番隊の〈キッズ防災プロジェクト〉は、災害発生直後の「自分の命を守る方法」と「いつ来るかわからない災害への備え」にフォーカスした体験型ワークショップです。「被災地での復旧支援を続ける中で、子どもたちが防災・減災を学べる場がもっと必要だと思った」と四番隊の代表・伊藤純さんは言います。

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〈キッズ防災プロジェクト〉のチラシ、冊子、ステッカー。プロジェクト実施にあたり、親しみやすいキャラクターを作りました。

72日、香取郡多古町で開催した〈キッズ防災プロジェクト〉を、当財団助成事業担当者が見学しました。
この日のワークショップは約2時間。スライドや冊子を用いてクイズ形式で進行する「学ぶ」のパート、多古町のキャラクターふっくらたまこさんが災害時に活躍する人形劇の「楽しむ」のパート、液状化現象の実験や実際の道具を用いて災害復旧支援活動を疑似体験できる「考える、体験する」のパートの、三部構成で行われました。これだけでも子どもたちを飽きさせない工夫がされていることがわかると思いますが、〈キッズ防災プロジェクト〉のすべてのワークショップに共通するいちばんの特徴は、メインの講師も子どもたちであるという点だそうです。
講師を務めるのは小学3年生のかんたろうくん、小学6年生のさくとくん、中学1年生のいろはさんの3人。四番隊のメンバーとして被災地でボランティア活動もしている彼らには、「災害が起きると町はどうなってしまうのか」「どんなことに気を付けて避難をすればいいか」「電気や水道が使えないと何に困るのか」を、経験を通した自分の言葉で伝えることができるという強みがあります。

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(上から時計まわりに)いろはさん、さくとくん、かんたろうくん。(四番隊Facebookより)

また、キッズ講師たちの視点は資料やクイズ、人形劇を作る際にも生かされています。「災害や防災で使われる用語は難しいものが多いので、低学年の子でも理解できる○×クイズになっているか、難しい言葉が使われていないかを私たちもチェックしています」と、最年長のいろはさん。「参加してくれた小学生に『私たち子どもにもできることがあるよ』ということを伝えたい」と、このプロジェクトに携わる想いを話してくれました。

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一般社団法人四番隊 代表の伊藤純さん(中央)

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鋸南町幼稚園の夕涼み会にて(四番隊Facebookより)。地域のイベントやお祭りの中で〈キッズ防災プロジェクト〉を開催することも。

熱心に3人の話に耳を傾ける子どもたち。子どもたちにとって、少し年上のおねえさん・おにいさんから語られる言葉は、私たち大人が思うよりもずっと「刺さる」ものなのかもしれません。
「大人の方が上手く進行できるとは思いますが、だからといってちゃんと伝わっているとは限らない。大人と子どもだと、どうしても『教える、教わる』という関係になってしまいますよね。災害や防災を自分ごととして考えてもらうために、年齢の近い子どもたちに講師を担ってもらうことを考えたんです」と、伊藤さん。
伝えるだけで終わらない「伝わる」防災教育とするために、〈キッズ防災プロジェクト〉におけるキッズ講師の役割は重要です。

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被災地支援と防災教育、両立することの難しさ

〈キッズ防災プロジェクト〉は、被災地で支援活動を行ってきた四番隊の「予測できないからこそ、子どもたちには災害発生時に自分の命を守る知識を身に付けてもらいたい」という想いから始まった事業です。伊藤さんは、支援団体の視点で防災教育を行うことに意義を感じこの活動を続けていきたいと考えていますが、一方では日本各地で起こる災害への支援要請も相次ぎ、防災教育を計画的に実施する難しさも感じているそうです。
今回の助成は、事業の実施期間を台風や大雨の災害が少ない時期にあわせて申請しましたが、今年は想定よりも早い時期に大雨による災害が発生したため、現在、事業実施のスケジュールの見直しを図っています。
「災害発生時の被害を少しでも小さく抑えるには、防災意識の向上が不可欠」と、伊藤さん。そのためには、支援活動と防災教育を両輪で進めていく必要があると言います。今後高まるであろう支援活動と防災教育のニーズに応えていくために、「ボランティアスタッフの獲得と、他地域の支援団体とのネットワークを充実させていきたい」と考えているそうです。

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被災地での復旧支援活動の様子(写真提供:四番隊)

多様化・細分化する防災・減災ニーズに対応するために

子どもだけでなく、高齢者・障がい者・外国人・妊産婦など、地域には災害時に特別なサポートを必要とする人たちがたくさんいます。必要なサポートはそれぞれ異なり、さらにそこに災害の種類や地域性が加わることを考えると、従来のマジョリティを中心とした防災訓練だけではいざという時に対応できないことは明らかです。四番隊の〈キッズ防災プロジェクト〉から、多様化・細分化された防災ニーズに、市民公益活動からアプローチするモデルのひとつとなる可能性を感じることができました。

キッズ防災プロジェクト(小学生を対象とした防災教育事業)
2019 千葉県台風・豪雨災害支援基金 第6次助成 / 事業実施期間:2023年4月1日~2023年9月30日

助成金額:500,000円

実施地域:千葉県多古町、鋸南町、富津市、袖ケ浦市 他


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