休眠預金活用事業
【開催報告】若者が自分らしく働き暮らしていくために、地域で何ができるか考えるワークショップ
公益財団法人ちばのWA地域づくり基金は、休眠預金を活用した「若年就労困難者のための包括的就労支援事業」の一環として、「若者が自分らしく働き暮らしていくために、地域で何ができるか考えるワークショップ」を開催しました。
今回のワークショップは、地域の住民や企業と一緒に就労支援に取り組む静岡と滋賀の事例から、就職を最終的なゴールとせず、地域全体で若者の人生に寄り添い続ける支援の在り方を学び、それをヒントに千葉の各地域で「若者の人生をサポートするネットワーク」をどのようにつくっていけるのか、参加者の皆さんと一緒に考えました。
【開催概要】
日 時:2026年3月25日(水)13:00~17:00
会 場:市川市文化会館 第二会議室
来場者:40名(NPO、支援機関、企業など)
平均満足度:4.6(5段階評価)
主 催:公益財団法人ちばのWA地域づくり基金
助 成:休眠預金活用事業2023年度通常枠「若年就労困難者のための包括的就労支援事業」
【プログラム】
オープニング 13:00-13:10
<若年就労困難者のための包括的就労支援事業について>
大村みよ子(ちばのWA地域づくり基金 プログラムオフィサー)
第一部 講演 13:10―14:30
<滋賀の実践:“働”人の思いが重なって大きな大きな力になる>
野々村光子さん(社会福祉法人わたむきの里福祉会 東近江圏域働き・暮らし応援センター“Tekito-”相談統括)
<静岡の実践:地域をつくる就労支援>
津富宏さん(NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡 顧問、立教大学特任教授)
第二部 ワークショップ 14:45-17:00 (ファシリテーター:津富宏さん)
開催報告 多様な立場の参加者が集まり、熱量の高い場に
平日の開催でしたが、東葛・葛南地域からの参加者を中心に、支援機関やNPO、当財団に関わりのある方々など、関係者を含め46名の方々にお集まりいただきました。前半は講演、後半はワークショップ形式の参加型の場となりましたが、多くの方が意見やアイディアを持ち寄って主体的に参加してくださり、非常に熱量の高い場となりました。ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

まず最初に、ちばのWAプログラムオフィサーの大村より、現在取り組んでいる「若年就労困難者のための包括的就労支援事業」の背景や概要と、本事業が目指すことについてお話ししました。その上で、今回のワークショップは単に「就職」をゴールとするのではなく、地域全体で若者の人生に寄り添い続けるために、既存の就労支援の枠を超えた新たな資源やつながりのあり方を皆さんと共に考えたい、という趣旨を共有しました。
「働く」を通して地域をつくる―滋賀の実践
講演のお一人目は、野々村光子さん(東近江圏域働き・暮らし応援センター“Tekito-”相談統括)に、滋賀県での実践事例をお話しいただきました。
野々村さんと就労する本人の関係性は、「支援をする・される」ではなく、「私を手伝いに来てくれへんか?」と声をかけられた「頼まれた人たち」というところから始まります。野々村さんは「働く」を切り口に、誰が困っても解決できる地域をつくるという視点で活動されており、そこでは本人は「暮らしに困っている人」ではなく、働くことで「地域の困りごとを救うチーム」の一員になります。見学や実習を受け入れる企業を増やしていったプロセスについても、企業側がどんな人でも働ける企業に成長し、その幅を広げていくという視点でお話しいただきました。講演の最後には、目の前の本人という近視眼的な支援にとどまらず、もう少し遠くのまだ声や制度がまだ届いていないところにまで思いをはせながら活動することの重要性についてもお話しいただきました。
野々村さんのお話に共通しているのは、自分自身も、困りごとを抱えた本人も、企業や支援機関の人も、地域に住む誰もが「地域の資源」であり、その資源の重なり合いを増やしていくことこそがセーフティーネットになっていくという考え方です。ちばのWAが今回の休眠預金事業で目指しているところと重なる部分でもあると感じました。

個人の支援から「地域のエンパワメント」へ―静岡の実践
続く話題提供では、津富宏さん(NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡顧問)から、静岡県での実践事例をお話しいただきました。
青少年就労支援ネットワーク静岡では、地域の人々(ボランティア)が主体となるネットワークを構築しており、困りごとを中心に人のつながりが地域を覆いつくしていくことを目指しています。その中で意識されているのは、「個人のエンパワメント」から「地域のエンパワメント」へ視点を移すことです。ボランティアを、個人を応援するための単なる手段としてではなく、「地域をつくる仲間」として捉えるという考え方は、野々村さんのお話とも共通するものでした。
静岡の活動も滋賀の活動と同様に、単なる就労支援ではなく「地域づくり」を目的としています。地域に眠る資源を把握し、それを組み合わせて複合的に活用することで、地域の困りごとを解決できる地域の力を養っていく。できることから着実に始め、具体的に形になっている静岡の事例は、千葉でも何か始められるのではないか、と勇気づけられるお話しでした。

地域をつくるアイディアを生み出すグループワーク
後半のワークショップは津富さんの進行のもと、活動エリアの近い参加者同士でグループ分けを行い、市川市や柏市を中心とした8つのグループで「地域をつくる」をテーマにワークを進めました。
まずはグループワークの土台として、自分たちが考える「良い取り組み」とは何なのか、その評価基準を話し合いました。「就労支援につながる」という基準は必須として、グループごとには「仲間が増える」「困っている人と出会える」「偶然が起きやすくなる」等のポイントが共有されました。
続くアイディア出しの時間では、制限を設けず自由に意見を出し合ったことで、即実行可能な身近なアクションから、地域全体を巻き込む壮大な構想まで、わくわくするような取り組みが次々と飛び出しました。その後、メンバーをシャッフルして他グループの話を聞き、自グループへ持ち帰る時間を設けたことで、お互いのアイディアに刺激を受け、更に広がりが見られました。


生まれたアイディアを具体的なアクションへ
最後に、最初に定めた「良い取り組み」の基準に照らし合わせながらアイディアを吟味し、最も評価の高かったものについて、いつ・どこで・何をするか等の具体的な計画(5W1H)へと落とし込みました。各グループからは以下のようなアイディアが発表されました。
- 地域のお掃除:様々な団体が仲間を連れて実施する。みんなで楽しく活動できるか実験してみて、PRしながら参加者を増やしていく。
- 大人向けのキッザニア:体験させてくれる商店街のお店や企業から困りごとを集め、モデルケースを作っていく。
- いろんな経験(手伝いなど)ができる場所がたくさんある状態をつくる:色々な経験をして自信につながることを目指す。まちを歩いて面白そうな企業を発掘し、支援者の「やりたい」をベースに開拓する。
- 地域の助け合い活動:地域にお困りごとボードを設置する。それを見に来た人をマッチングしたり、居場所に来ている若者に活躍してもらう。
- 地域のお店のPR動画作成:そのためにまずは企画会議をする
出てきたアイディアの中から、具体的なアクションにつながったグループもいくつか生まれています。今回のワークショップをきっかけに、地域での新たな取り組みが始まり、資源の重なり合いが生まれていくことで、若者の人生を支えるネットワークができていくのではないかと思います。
参加者から寄せられた感想
ご参加いただいた方からは、以下のようなご感想をいただきました。
- 具体的にやってみたいアイデア、持ち帰るヒントがたくさんあった。
- ワークショップでは出来なかった“資源”の確認、整理から、しっかり団体内でやろうと思えた。
- 他のエリアの事例、そして支援の原点や根本的な考え方や方法を学ばせていただきました。
- 現実可能かを考える(考えすぎる)前にアクションを起こせればいいなと思います。
- 様々な団体が集まればできることはたくさんあると感じた。
- 自団体の活動、拡がりだけではなくて、“地域への責任・役割”を改めて考えるキッカケになりました。
- 地域を巻き込むことの大切さは日頃から感じていますが、今回色々な方法で巻き込むチャンスがあると知った。
- 小さな所から取り組んでいくことが地域を動かしていく。
- 同じ想いを持った人たちが同じ地域にたくさんいて心強いと思った。
今後の予定
ちばのWAでは「若年就労困難者のための包括的就労支援事業」の事業期間内(~2027.2)に、就労支援に関連するイベントの開催を予定しております。開催が決まり次第お知らせいたしますので、どなたもご参加ください。
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本事業「若年就労困難者のための包括的就労支援事業」の事業概要や実行団体の活動についてはこちらをご覧ください。
